逆子治療

Y・H子 赤穂市
主婦  34歳

いま、二人目の子供を妊娠中の9ヶ月です。
医師から、逆子だといわれ、妊娠8ヶ月からずっと「逆子体操」をしていますが、戻りません。
医師からは、帝王切開を覚悟してくださいといわれました。
ネット検索していたら、逆子体操よりお灸が効果があると分かりました。
針の治療は受けたことがありません。
どのような治療なのですか。
お腹の子に影響はありませんか?

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まず、逆子についてですが、子宮内の胎児は通常は、頭部が子宮口の方に位置しているので、分娩の時、頭部から生まれてきます。
これを「順位」といいます。

しかし、全分娩の約5%が逆子での分娩です。

胎児の足、または臀部が子宮口に向いている場合があり、それを「骨盤位」といいます。
確認は、触診でもできますが、超音波診断を使えば、より確実に分かります。
100人の妊婦さんがいれば、そのうちの5人が逆子で産まなければならない、ということです。

逆子分娩で問題なのは、早産しやすい、分娩に時間がかかる、赤ちゃんが仮死状態で生まれてきたり、何より怖いのが鎖骨骨折を起こすなど、正常分娩に比べて危険性が高いお産になります。

N子さんがやっておられる「逆子体操」とは、逆子の矯正法で、母親が「胸膝(きょうしつ)位」という体位をとったり、直接お腹の上から手で胎児を回転させる「外回転法」などがあります。
しかし、「胸膝位」は有効性に、「外回転法」は安全性に、それぞれ疑問視されています。


さて、中国医学の鍼灸では、逆子治療は「お灸」のみを用います。
足の小指の先端外側にあるツボ「至陰(しいん)」に、チクッとする程度のお灸を5壮(個)程度、すえるだけです。


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逆子の矯正確立については、逆子治療のデータを取り、公表されている東邦大学医学部付属大森病院産婦人科によりますと、お灸での治療で、妊娠7ヶ月では90%の成功率、妊娠9ヶ月では42.5%の成功率と公表されています。しかし、実際のところ、この数字ほど矯正確率は高くないとされています。



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平成26年度の時点で「はせがわ鍼灸院」では、妊娠7~8ヶ月では矯正成功率は約70%、妊娠9ヶ月になると矯正成功率は40%近くになります。


なぜ、「至陰」にお灸をすえるだけで逆子が矯正されるのでしょう。
そもそも、「至陰」というツボは、陽が尽き陰気が起ころうとして陰経に入るため「至陰」と名付けられました。
「陰陽」理論で言いますと、女性、右は「陰」なので、陰に対応する右足を中心に元気にすると子宮の機能が大幅にアップし、そのために逆子矯正が可能になるといわれています。


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逆子矯正に使うツボとしては、先ほどの「至陰」のほかに、「三陰交(さんいんこう)」(足の内くるぶしの上3寸、指4本分)なども用います。
逆子の灸は副作用がまったく無い、優れた治療法の一つです。
週に2~3回の治療で、しかも身体に負担が無く、短時間で済み、矯正確立が非常に高いのです。


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先日、4回の治療で逆子が矯正されていたとのこと。
私は「電話で連絡いただいたら、それでよかったのに」と言いましたが、「嬉しくって、どうしても直接言いたかたから」と来院していただきました。
このお母さんは帝王切開をしなくて無事男の子を出産されました。

鍼灸師はコツコツと地味な作業の繰り返しですが、しかし、鍼灸師をやっていて良かったと思う瞬間がいっぱいあります。