緑内障


E・R子 女性
45歳・主婦(パート勤務)

最近、子供たちとバトミントンをしていたら急に羽ボールが視野から消えてしまい、ショックを受けました。
以前から、目がかすむことがあり、気にはなっていたんですが、そのままにしていました。年齢のせいにしていたのですが、メガネを作り直すために検査をしたら、眼圧が少し高いといわれました。緑内障になると視力が落ちてしまうと聞き不安になりました。
中国医学で治るのでしょうか?

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まず、緑内障とはどんな病気かを理解しましょう。
私たちは様々な情報を目を通してキャッチします。
その情報は、視神経を通じて脳に送られます。
その視神経が何らかの原因で障害を受け、視野が欠けるなどの症状がでるのが緑内障です。


緑内障には、眼圧が急に上がり頭痛が起きる「閉塞(へいそく)隅角緑内障」と慢性的に眼圧が少し高い「開放隅角緑内障」があります。
R子さんは視神経乳頭の凹みが大きく、開放隅角緑内障です。

この疾患は、視野があまり欠けないうちに治療をするのが望ましいのですが、厄介なのは初期には自覚症状がほとんど無いことなのです。
視野が欠けていっても中心点が見えていれば視力は下がらないし、例えば右目に症状があっても、左目がカバーしてしまうので、少しくらい見えにくくても気づかないのが普通です。


視神経を傷害するのは、眼圧が高くなりすぎること。
目には栄養分を運ぶ房水が流れていますが、眼圧が高くなるのは、この房水が流れすぎたり、排水が悪かったりするせいなのです。

眼圧を下げるため、点眼薬や手術などの治療を施しますが、視神経が一度傷つくと元には戻らないのです。
つまり、西洋医学の治療は「それ以上、視野を失わないこと」を目的に行われるのです。



中国医学では、眼科疾患は目の周辺だけでなく、頚部、肩背部、下肢(足)などに刺鍼します。
基本的には、身体全体の血液循環を改良し、良好な精神状態をキープできるようにします。

患者さんの証(疾患の重症度)によって、刺鍼する部位は変わりますが、R子さんの場合は、パートが細かい伝票整理ということもあって、目がとても疲れやすくなっています。

ですから、使用したツボは、目の周りでは、「攅竹(さんちく)」(左右の眉毛の内側)、「絲竹空(しちくくう)」(眉毛の外側)など。
頚部では、「天柱(てんちゅう)」(後ろ髪の生え際)、「風池(ふうち)」(「後ろ髪の生え際の下、首の僧帽筋の両外側」など。

下肢(足)では、文字通り目の治療穴である「光明(こうめい)」(足の外くるぶしの上5寸)を中心に、その下の「陽輔(ようほ)」、「足三里(あしさんり)」(むこうずねの骨の外側、膝から下6~8cmのところ)、「太衝(たいしょう)」(足の親指と人差し指の間の上方、二つの骨のクロスする陥凹部)などです。


顔面は毛細血管が密集しているので、刺鍼は0番か1番の超細の針を使用します。
週2回の通院治療で眼圧は早めに正常値に戻り、視力が少しづつ回復しています。
ある程度の目標に到達すると、週1回の通院治療、さらに月1回の治療に変えていきます。

「顔面への刺鍼」と聞くと、なんだか怖いですね。しかし、痛みはほとんどありません。小学生もこの治療を受けていますのでご安心ください。(眼圧の正常値は15~21㎜HGです)


費用、時間、そして、心の負担、この三つをできるだけ軽くしていただきたいので、視力回復程度を明確にして、そのつどインフォームドコンセントを行っています。



はせがわ鍼灸院の測定法

当院の視力測定はNIDEK社のシステムチャートSC-2000を5メートルの距離から測定します。
眼科領域では最新の視力検査法であり、眼科医院も導入し始めている検査機器です。


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 (NIDEK社・システムチャートSC-2000)

この最新視力測定機は0.1未満の視力まで詳細に判定できます。
公式に0.03より遠見視力検査ができ、弱視や色素変性の患者さん向けの測定機能を持っています。

液晶画面の特性をいかし、網膜色素変性症やアズール病患者さん向けに白黒反転で測定し、白内障の患者さんにはコントラスト測定することも可能です。

この視力検査は基本的に、眼科疾患の患者さんには毎回行います。
なお、視力は測定時の体調で微妙に変化がありますが、体調変動も含め、患者さんの日常での生活の質(QOL・クオリティ・オブ・ライフ)の向上に励みます。


視力において、歪みや暗点は「鈴木式アイチャート」で測定します。



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  ( 「鈴木式アイチャート」 )

視界の境界、領域を把握する測定機です。
眼科や脳外科などで実際に使用されているもので、変視の位置・状況や、視野欠損の位置確認をおこないます。

この「鈴木式アイチャート」は歪みや暗点の視界での大きさや状況を客観的に記録し、変視や視野欠損の状況を測定し、鍼灸治療による変化を測定結果に反映させるものです。



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  ( 「測定用紙」 )

上図のように、定期的に眼科疾患の患者さんの個別測定をおこない、記録を照らし合わせ、疾患の治癒状況や進行具合を把握するものです。