網膜色素変性症

S・H江 女性
68歳・主婦

私は横浜に住む主婦ですが、母の目のことでご相談したくメールいたしました。
母は我慢強い人なので肩こりや、膝痛などは「放っとけば治る」と、なかなか病院にも行きません。
しかし、最近、暗いところで見えにくくなり、ようやく眼科に行ってくれました。そうしたら、「白内障」と「網膜変性症」と診断されました。
白内障に関しては多少なりとも知識はあるのですが、網膜変性症」は初めて聞く病気なので驚きました。
一体、「網膜変性症」は治るのでしょうか?
母は姫路に住んでおりますので、そちらの治療院がいいかと思い、ご相談させていただきました。

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「網膜変性症」は進行性の眼科疾患なので、すぐにお母様のS・H江さんに来ていただき、インフォームドコンセントをし、同意を得ましたので、横浜の娘さんにも連絡して病状を説明し、こちらも同意を得ましたので、網膜変性症の治療に取りかかりました。

網膜変性症は、眼球の内膜の網膜という光を感じる膜があり、この網膜の細胞の遺伝子に異常があり、モノを見る機能が下がっていく、進行性の病気です。

まず、初期段階では、少しずつ暗いところでモノが見えにくくなります。
そして、視野が狭くなるのが分かるようになります。
進行性の眼科疾患ですから、視力も下がり始め、ようやく異常に気づくのです。

ただし、ほとんどの患者さんは、必要最小限の視力は保てるので、生活をする程度は保障されています。
そして、厄介なのは、遺伝子レベルの疾患なので、西洋医学での治療はほとんど無いのが現状です。

S・H江さんは白内障も併発されていました。
これは、網膜変性症には白内障が合併することが多いせいです。

日常生活では、網膜に最も悪いとされている紫外線を避けることが大切です。
もちろんタバコもダメです。
メガネも紫外線カットのものを使用し(できればS・H江さんにお勧めしたのですが、光をカットする遮光メガネなど)、車に乗られる時も、UVカットの窓ガラスのものがいいでしょう。
そして、目の疲れを少しでも和らげるため、読書好きなS・H江さんには拡大鏡を使っていただいています。


さて、鍼灸治療での網膜変性症の治療法ですが、白内障や緑内障の治療法とほぼ同じです。
網膜黄斑変性症、網膜色素変性症、緑内障など、眼科疾患はほぼ共通した針治療となります。

もちろん、患者さんによって選穴は異なってきますが、顔面(目の周囲)、頚部、背部、下肢(足)と、順に刺鍼していきます。
証(その病気の重さ)によって、目に対して「栄養が行き渡らない」症状を探り出します。

中国医学的なポイントは、ストレスからおきやすい「肝鬱気滞」、消化器官がちゃんと機能しない「脾の運化失調」、気力や体力の衰えからくる「腎気不足」などが原因と特定します。
(S・H江さんは、これらすべてが当てはまっていました)

顔面(目の周囲)、頚部(首)、背部、などのツボは他の眼科疾患とほぼ同じです。
(顔面への「針」と聞くと、怖いイメージですが、小学生でも痛がらずに受診されていますのでご安心ください)

下肢(足)に関しては、私が腰痛治療や冷え症などでも使うツボである、「三陰交(さんいんこう)」(足の内くるぶしの上三寸(手の指で親指以外の4本分の幅)の陥凹部)、脾経という経絡上にあり、女性器疾患や血行不良などに用いる「血海(けっかい)」(膝のやや内側、少し太腿に上がったところ)などを加えます。

網膜変性症をはじめ、網膜裂孔、網膜はく離、糖尿病性網膜症、網膜静脈閉塞症など、なかなか西洋医学では困難とされている眼科疾患は、愛知県の一宮にある「千秋針灸院」の春日井先生が日本でも有数の「眼科専門鍼灸治療」で実績を上げておられます。
(鍼灸学会で「眼科疾患の鍼灸治療の実証例を学会発表されます)

春日井先生の「千秋針灸院」さんとは提携治療院とさせていただいています

眼科疾患ほど、生活に密着した疾患はありません。また、これらの疾患に悩んでおられる患者さんの多いことは社会問題となりつつあります。

当「はせがわ鍼灸院」でも、これからも真剣に眼科疾患と取り組んでいきたいと思っています。



はせがわ鍼灸院の測定法



当院の視力測定はNIDEK社のシステムチャートSC-2000を5メートルの距離から測定します

眼科領域では最新の視力検査法であり、眼科医院も導入し始めている検査機器です。


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 (NIDEK社・システムチャートSC-2000)



この最新視力測定機は0.1未満の視力まで詳細に判定できます。
公式に0.03より遠見視力検査ができ、弱視や色素変性の患者さん向けの測定機能を持っています。

液晶画面の特性をいかし、網膜色素変性症やアズール病患者さん向けに白黒反転で測定し、白内障の患者さんにはコントラスト測定することも可能です。



この視力検査は基本的に、眼科疾患の患者さんには毎回行います。

なお、視力は測定時の体調で微妙に変化がありますが、体調変動も含め、患者さんの日常での生活の質
(QOL・クオリティ・オブ・ライフ)の向上に励みます。

視力において、歪みや暗点は「鈴木式アイチャート」で測定します。

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  ( 「鈴木式アイチャート」 )



視界の境界、領域を把握する測定機です。
眼科や脳外科などで実際に使用されているもので、変視の位置・状況や、視野欠損の位置確認を
おこないます。

この「鈴木式アイチャート」は歪みや暗点の視界での大きさや状況を客観的に記録し、変視や視野欠損の状況を測定し、鍼灸治療による変化を測定結果に反映させるものです。


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  ( 「測定用紙」 )



上図のように、定期的に眼科疾患の患者さんの個別測定をおこない、記録を照らし合わせ、疾患の治癒状況や進行具合を把握するものです。