眼から体調不良に


山下 女性 36歳
福崎町 派遣社員

3年前からパソコンの業務に就きました。半年後から目の疲れがひどくなり、そのうち肩こりや腰痛も出始め、夫から「うつ症状がでている」と言われました。
すぐに眼科に行き診てもらったら「ドライアイです」と言われ、点眼薬をもらいましたが、目の疲れはひどくなるばかりです。
最近では「肩こり」もひどく、更年期障害かと心配です。
単なる「ドライアイ」とは思えません。針治療で治るものなのでしょうか?

_________________________


山下さんに限らず、私たちの生活や仕事はパソコンなくしては成り立たなくなっていますね。
目の疲れや、痛み、そして肩こりに腰痛、さらに進んで、うつ症状・・・これらの症状はパソコンによって引き起こされた「IT眼症」と呼ばれています。

吐き気や頭痛などの症状がでても、目に関係があるとは分かりにくく、人知れず悩んでいる方がとても多いのです。

ひと頃は、「VDT症候群」とも言われましたが、日本眼科医会が「IT眼症」と統一して研究を始めています。

その「IT眼症」の主な症状を3つのカテゴリーにまとめてみました。

1) 目の症状
  目の乾き・視力低下・眼精疲労・涙の減少・目の痛み

2) 体の症状
  肩こり・首こり・体のだるさ・背中の痛み・関節痛

3) 神経の症状
  頭痛・めまい・吐き気・不安・うつ

山下さんの症状はほとんどすべて、これに当てはまりますね。
そして、この「IT眼症」は、パソコンを仕事に使っているほとんどすべての人に関係しています。さらに、最近の調査では、パソコン以外の「目の疲れ」は精神的なストレスからも強い影響を受けています。


「ドライアイ」については、その項目で記述しましたのでここでは省略しますが、オフィスで働く人の4分の3がドライアイの疑いがあります。

IT眼症は文字通りIT(情報技術)に関しての疾患。
目は長時間、パソコン画面と書類との往復を余儀なくされています。
つまり、30~50センチの距離の往復で脳をフル活用しているわけで、この脳が疲れるとピントを合わせて近くを見る時の調節がうまくできなくなります。

当然、まばたきの回数も4分の1に減少し、涙が蒸発しやすくなり、目がゴロゴロして痛くなり、眼球に傷がつく可能性も高くなります。
特に、コンタクトレンズをしている人は、普段から涙が目全体に広がりにくい状態になっているので要注意です。

そして、ここ数年のIT技術の進歩で、目を取り巻く環境はさらに複雑になっています。
電車の中で必ず見かけるのが、携帯メール。
あのメールのやりとりで小さい画面を凝視し、目の負担を大きくしています。
電車の中の明るさが変化している状況での目の酷使は、想像以上の眼精疲労を強いています。

本来、人間は生まれたときは遠視の状態で、7~8歳までに正常な視力を得ます。
25歳前後まで近視が進み、45歳前後から老眼が始まります。
今までは、この25歳から45歳の間に近視でも度が進まない「安定期」とされてきたのです。
それが、この25歳を過ぎても近視が進む例が増えているそうなのです。


かけがえのない「目」へ悪い影響が忍び寄っています。
まず「パソコン」、様々な「ストレス」、子供から成人まで夢中になっている「携帯電話&ゲーム機」など、人類はかつてない目の使い方をしているのです。


さらに、北里大学では、「シックハウス症候群」の原因と「IT眼症」との関係に着目しています。
接着剤などに使われるホルムアルデヒドなどの化学物質は「シックハウス症候群」の原因物質として知られていますが、これらの物質が目にも作用し、「IT眼症」と同様の症状を起こすことを発表しています。


山下さんへの治療は「眼科疾患」で使用するツボとほぼ同じです。
肩こりや腰痛に関しては、そのつど、ツボを探り、コリをほぐしていきました。
週に1度の通院で、4ヶ月で眼精疲労は取れ、いまは、月に2度の通院で肩こりと腰痛の治療を加え、目と体と心のメンテナンスをしています。

山下さんは、60分を一つの区切りとして、5分休むという「山下ローテーション」を確保し、上司の「目」をかいくぐりながら眼精疲労を回避し、ドライアイを防ぎ、ストレスをためないようにペットの犬を飼い始めました。

便利さの代償が「IT眼症」ですが、ガマンするだけでなく、工夫次第ではうまく付き合うこともできるのです。




はせがわ鍼灸院の測定法

当院の視力測定はNIDEK社のシステムチャートSC-2000を5メートルの距離から測定します

眼科領域では最新の視力検査法であり、眼科医院も導入し始めている検査機器です。



視力検査機他の用途.jpg

  (NIDEK社・システムチャートSC-2000)

この最新視力測定機は0.1未満の視力まで詳細に判定できます。
公式に0.03より遠見視力検査ができ、弱視や色素変性の患者さん向けの測定機能を持っています。

自分では気づかないうちに他の眼科疾患に罹っている可能性もあります。検査で早期発見、早期治療をおすすめします。


液晶画面の特性をいかし、網膜色素変性症やアズール病患者さん向けに白黒反転で測定し白内障の患者さんにはコントラスト測定することも可能です


この視力検査は基本的に、眼科疾患の患者さんには毎回行います。
なお、視力は測定時の体調で微妙に変化がありますが体調変動も含め、患者さんの日常での生活の質(QOL・クオリティ・オブ・ライフ)の向上に励みます。


視力において、歪みや暗点は「鈴木式アイチャート」で測定します。


鈴木式アイチャートアップ.jpg


  ( 「鈴木式アイチャート」 )

視界の境界、領域を把握する測定機です。
眼科や脳外科などで実際に使用されているもので、変視の位置・状況や、視野欠損の位置確認をおこないます。


この「鈴木式アイチャート」は歪みや暗点の視界での大きさや状況を客観的に記録し、変視や視野欠損の状況を測定し、鍼灸治療による変化を測定結果に反映させるものです。



治療院写真 033.jpg


  ( 「測定用紙」 )

上図のように、定期的に眼科疾患の患者さんの個別測定をおこない、記録を照らし合わせ、疾患の治癒状況や進行具合を把握するものです。