強迫神経障害



男性 42歳 会社員

私は子供の頃から潔癖症で、自宅以外の扉のドアノブが触れませんでした。
常に、世の中が汚染されていると思い込み、電車の中ではつり革も触れず、マスクをして空気を吸わないようにしていました。
外出する時は胸がドキドキし、しょっちゅう気分が悪くなります。
精神科の治療を受け、外出の時のドキドキ感はなくなりましたが、まだ、ドアノブに触れたり、つり革や、公衆トイレを使うのには抵抗があり、苦労しています。
また、何度も時計が気になり確認してしまいます。
将来に対して不安で仕方ありません。こんな私でも、治るのでしょうか。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


私(長谷川院長)も子供の頃は強迫神経症でした。大学時代、アパートで一人暮らしを始めたのですが、ドアの鍵が気になり、何度も施錠したかどうかを確認したのを憶えています。

直木賞作家の奥田英朗さんの「空中ブランコ」という作品に、強迫性障害になった人物が登場します。
この人物は、学会の発表の場では「欽ちゃん走り」で登場してみたくなったり、義父がカツラであることを人前でバラしたくなる衝動に駆られたり、バカげているとは分かっているのに抑えきれない自分を持て余しているのです。
この強迫性神経障害とひきこもりとよく似ています。

しかし、これらの疾患は、鍼灸治療によって大幅に改善されます。

強迫性障害と引きこもりの2つのパターンとその治療穴を紹介しておきます。


1)「肝気うっ血型」(いつもイライラしているタイプ)

  このタイプは、過去にとらわれくよくよしている。 
  精神が抑圧されため息が多い。胸やわき腹が痛い。
  動悸がおきやすく唾がネバネバしている。
  眠りが浅く夢ばかり見る。


  治療穴は後頚部では「風池(ふうち){(後ろ髪の生え際の下、 僧帽筋の両外側)、上肢(腕)では、「神門(しんもん)」(手首の小指)、 「内関(ないかん)」(手首の横紋中央から肘に向かい上2寸)、 など。
 下肢(足)では  「太衝(たいしょう)」(足の親指と人差し指との間、 二つの骨がクロスしるところ)など。


この「肝気うっ血」型がさらに悪化していると「肝火上炎」といい、消化器官の脾胃(ひい)が虚損している場合があり、その時は、「足三里」や「上巨虚(じょうこきょ)」などを加え、生命エネルギーを補います。


2「心脾虚損型」((やる気が起きなく、食欲もないタイプ)

 このタイプは、神経も磨り減っており、なにもやる気が起きない。
 そんな自分が 信じられず、受け入れられない。
 不眠、寝てもすぐに目が覚めてしまう。 物忘れが多く、集中力が持続しない。
 顔色も悪く、舌の色は薄く白い場合が多い。 疑い深くなり、 涙もろくなり、しかし感情を出すのがヘタ。


 治療穴は「神門」、「内関」を中心に、背中の「脾兪(ひゆ)」(第11胸椎、 きょく突起、両側の脊柱起立筋の中央)や、下肢の「足三里」や「三陰交(さんいんこう)」(足の中央の骨の内側、うちくるぶしの上3寸のところ)などを加えます。

強迫神経障害の最大の特徴は「くり返し行為」があげられます。
現在(平成26年11月)来院されたある患者さんは「戸棚が倒れてくる」と思い込み、毎日、針金で倒壊を防ぐ行為をくり返していましたし、別の患者さんは、配達したものがちゃんと届いたかを確認するため「指差し行為」をくり返していました。

現在も治療中ですが、これらの「くり返し行為」はとまり、気持ちも軽くなり「健康」を取り戻されています。