ひどい腰痛


「腰が痛くて寝返りもうてない」と前かがみになり来院
されたのはB・E子さん(OL・27歳)。

高校時代に陸上部で活躍され、そのハードな練習がたたり、腰痛になり退部。
以来、整形外科に通ったり、リハビリ、整体、ヨガとあらゆる治療をしてきましたが一向に良くならない。
最近では、足のしびれもあり、眠りも浅く、寝返りをうつのも困難な状況です。
鬱(うつ)になりそうと心配されています。


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 病態・症状

腰痛のほとんどは日常的な小外傷や労働、さらに、仕事に向かう「姿勢」に起因しています。

ですから下肢痛もこうした腰痛発症の機序の延長線上に
ある坐骨神経痛の場合が多いようです。
そして、よくある「腰痛」にはだいたい以下の3疾患に分けられます。


①筋筋膜性腰痛→急性のものは、急激な動作で
  筋筋膜に過伸展や部分断絶を生ずることによって
  起こります。

  慢性のものは、筋疲労や組織の疲労により血液の
  循環障害が原因で起こります。



②椎間関節性腰痛→椎間関節の障害による腰痛で、 
  急性のものは、急激な運動により関節組織が損傷
  されることで起こります。

  慢性のものは、他の関節での老化変性による椎間関節現れることが多いようです。



③変形性脊椎症→40歳前後から始まる脊椎の老化変性に起因する腰痛です。痛みの発生には椎間板や骨棘など刺激によるものと考えられています。


 このB・E子さんの場合は、腰痛だけに終わらず、下肢(足)にまで痛みが及んでいます。
 この腰痛は坐骨神経痛が考えられます。 

(なお、「椎間板ヘルニア」の方はその項目を参照ください)


 「坐骨神経痛」には以下の特徴があります。

根性坐骨神経痛→腰椎の変性はL4~L~5(腰椎の4番目から5番目にかけて)とL5~S1(腰椎の5番目から仙骨の1番目)椎間板レベルの椎間孔付近で最も強く起こります。

この部分を坐骨神経が障害されると、根性の坐骨神経痛が起きます。
腰椎椎間板ヘルニアをはじめ、変形性脊椎症、腰部脊椎管狭窄症などは、坐骨神経痛の原因となります。




症状

根性坐骨神経痛の特徴は、神経走行に沿って下肢(足)
への放散痛や痺れがあります。
その他、触っても感覚が鈍い知覚障害、アキレス腱反射の減弱、SLR陽性などがみられます。



人の背骨は、側面から見るとS字カーブを描き、周囲の筋肉と連携して上半身を支えます。

しかし、同じ姿勢を長時間続けたり、加齢や猫背によって、上半身が前のめりになると、背筋に負担がかかり痛みが発症します。

下のイラストは腰が痛む「仕組み」を解説したものです。


重い腰痛.jpg


これは、酷使された背筋に乳酸などの老廃物がたまることによる、「疲労性の腰痛」です。
また、筋肉が硬くなり、慢性腰痛となります。




治療

障害部分の神経根付近の血液循環の改善を目的に、
臀部や下肢の痛みがある部分の鎮静化を鍼灸治療に
よりはかります。
まず、腰痛治療からはじめ、放散痛のある下肢(足)の
痛点にそって鍼治療をしていきました。

初回に「10あった痛みが6程度に軽減」、2回目(2週目)
には「10あった痛みが4にまで軽減」、次第に(ゆっくりとですが)痛みが治まり、完全治癒とまではいっていませんが、8週目の今では、放散痛もなく、寝返りもうて、何年ぶりかの熟睡を堪能してらっしゃいます。