飛蚊症

N・H子 女性
49歳 主婦

約半年前から、目の前に黒い虫のような斑点が現れ、いずれ取れるだろうと思っていたのですが、最近になってその黒い斑点が2つ、3つと増えてきました。夜、車を運転していて、光が目に入ったりすると、光のスジのようにきれいによこぎります。黒い斑点が増えてきているので不安です。
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Nさん、あなたの眼科疾患の病名は「飛蚊症(ひぶんしょう)」といいます。

眼球の大部分は硝子体というゼリー状の組織が占めています。(いわゆる、目の玉の中身ですね)
この硝子体は外から入る光は、角膜、水晶体(レンズの働きをしているところ)、などを通り抜けて、硝子体を通過し、網膜で映像化します。



目の構造 絵.jpg



この硝子体が何らかの原因で濁ると、その影が網膜に映り、虫が飛んでいるように見えるのです。

硝子体は常に容量を一定に保っていますが、加齢などにより硝子体の中のゼリー状のものが液体に変化し、隙間があいて不均一になり、これが網膜に影となって映るのです。



飛蚊症にはいくつかのタイプがありますが、最も多いのが「硝子体剥離」です。
実は私自身、この5月から飛蚊症に罹っていました。
「硝子体剥離」は、本来、硝子体とその奥の網膜はぴったりとくっついているものなのですが、ゼリー状の硝子体は老化や近視眼で収縮し、くっついているものが離れてしまうのです。これが、硝子体剥離です。

この硝子体剥離は老化(と思いたくないですが、仕方ありませんね)現象として起こり、強度の近視の場合は必ず起こります。
また、目を強打したときも起きるそうです。

たいていの場合(私もそうでしたが)、最初は一つの大きな黒い輪のようなものが見え、やがて、いくつかの黒い点に散っていきます。



私の場合、5月初めに左目に黒い点が5つありました。
治療ポイントは、眼科疾患に共通しているのですが、視神経、眼底部など、目の周辺や頚部などの血流を改善することです。

考えてみれば、私は今年初めから相当無理をしていたようです。
特に、2月3月は睡眠3~5時間が続き、休みの日にも授業に備えてのレジメ作りなどの作業に追われていて(私は学校の教員もしていますので)、肩こりもひどく、腰痛もあり、患者さんには「ウォーキングぐらいはやってくださいね」と言いつつ、自分は満身創痍で仕事漬けだったのです。
そのツケが回って来たのだと思います。



さて、治療についてです。
目の周辺を眼専用の世界一細い針で1ミリ程度刺鍼します。
これは目玉に直接に針をするのではなく、眼の周辺です。刺鍼箇所は「緑内障」、「白内障」、「網膜黄斑変性症」などと同じツボです。
頚部は、視神経が集まっている左右の首筋のツボである「天柱」、「風池」、「完骨(かんこつ)」などに刺鍼します。
そして、下肢(足)のツボが重要になってきます。

そこで、足への刺鍼は2パターンあります。
Aパターン→「親指と人差し指の間にある「太衝」と「光明」に刺鍼する。
Bパターン→「太衝」の少し先にある「行間(こうかん)」と「光明」のやや下にある「陽輔(ようほ)」に刺鍼する。

これを交代で打っていきます。
私の「飛蚊症」の場合週2回の治療を2ヶ月続け、黒い点は1つになりました。
ずいぶん見やすくなり、目の疲れを感じなくなり、ずっと黒点が気になっていたストレスからも解放されました。
あとの黒点1つは残してあります。

実験的に、1~2年程度「飛蚊」を残しておき、時間がたってから治療をしようと思っています。これは、多くの患者さんに見られることなのですが、「飛蚊」が発症し、ずいぶん時間がたってから治療にこられる方が多いのです。
そこで、そのような条件で治療をやってみようと思ったわけです。





さて、飛蚊症には、大部分を占める「硝子体剥離」のほかにいくつかの症状があるので説明をしておきます。

「生理的飛蚊症」・・・病気ではなく飛蚊症を感じる場合があり、胎生期に消失すべき硝子体の中の組織がそのまま残って飛蚊症と感じるものです。

「網膜裂孔」・・・網膜の萎縮変性している部分を硝子体が引っ張って生じるのが「網膜裂孔」です。網膜剥離の前兆の場合があり、早急な手術の必要があります。
その手術後の経過を見て、芳しくない状態である時、鍼灸治療が有効に働きます。

「硝子体出血」・・・糖尿病や高血圧のように目の中で出血して硝子体に入り込むと飛蚊症と感じることがあります。まず、糖尿病や高血圧などの元の疾患の治療が先決です。

このように、飛蚊症には様々な症状があり、目というデリケートな部分ですので、治療には細心の注意を払い、まず、専門医の意見を聞き、疾患をよく理解し、自分の症状に合った治療を受けられることをお勧めします。



はせがわ鍼灸院の測定法

当院の視力測定はNIDEK社のシステムチャートSC-2000を
5メートルの距離から測定します
眼科領域では最新の視力検査法であり、
眼科医院も導入し始めている検査機器です。


視力検査機他の用途.jpg

  (NIDEK社・システムチャートSC-2000)

この最新視力測定機は0.1未満の視力まで詳細に判定できます。
公式に0.03より遠見視力検査ができ、
弱視や色素変性の患者さん向けの測定機能を持っています。

液晶画面の特性をいかし、網膜色素変性症や
アズール病患者さん向けに白黒反転で測定し、
白内障の患者さんにはコントラスト測定することも可能です。

この視力検査は基本的に、眼科疾患の患者さんには毎回行います。
なお、視力は測定時の体調で微妙に変化がありますが、
体調変動も含め、患者さんの日常での生活の質
(QOL・クオリティ・オブ・ライフ)の向上に励みます。


視力において、歪みや暗点は「鈴木式アイチャート」で測定します。



治療院写真 028.jpg


  ( 「鈴木式アイチャート」 )

視界の境界、領域を把握する測定機です。
眼科や脳外科などで実際に使用されているもので、
変視の位置・状況や、視野欠損の位置確認をおこないます。

この「鈴木式アイチャート」は
歪みや暗点の視界での大きさや状況を客観的に記録し、
変視や視野欠損の状況を測定し、
鍼灸治療による変化を測定結果に反映させるものです。



治療院写真 033.jpg


  ( 「測定用紙」 )

上図のように、定期的に眼科疾患の患者さんの
個別測定をおこない、記録を照らし合わせ、
疾患の治癒状況や進行具合を把握するものです。