ドライアイ

noriko 女性
神戸市 事務 32歳

最近、年のせいか目が疲れて困っています。仕事で、パソコンを使うことが多く、できるだけ目薬をさすようにしていますがそれでも、目だけではなく、肩こりや腰痛もひどいのです。
眼科医に行ったのですが、「ドライアイですね」と簡単に言われ、目薬を貰っただけで終わりです。鍼灸で治す方法はあるのでしょうか?

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パソコンは、私たちの生活でなくてはならないものになっていますね。
仕事に、遊びに、パソコン画面との「にらみ合い」は、これからますます増えていくのでしょう。


京都府立医大のデータですが、パソコン関係の仕事従事者10250人にアンケート調査した結果、4人に3人に「ドライアイ」の疑いがあると診断されました。

最近では若い世代ではパソコンよりスマホでのドライアイが問題とされています。


この「疲れ目」の要因は、目の酷使です。
長時間のスマホ対応、パソコン作業に限らず、読書、精密な作業、などを長時間続けば疲れ眼になります。
また、全身疾患や肉体的、精神的疲労から疲れ目になると同時に、疲れ目から全身疲労になり、さらに内臓疾患にまで及ぶことがあります。

たかが、「目」の疲れ。されど、「目」の疲れ、とでも言いましょうか。
まさに、「目は体の調子のバロメーター」なのだと思うのです。
鍼灸師として、眼科疾患に特に注目している私としても、たかがドライアイと、放っておけない問題なのです。


ドライアイとは、涙液の分泌が少なかったり、涙が流されないよう目の表面の油層が足りなかったりして、目が乾燥する状態です。

いま、涙液と書きましたが、この涙液は目にはとても大切な働きをします。涙液はまばたきをするたびに出て、目にまんべんなく行き届かせ、目に入っているゴミなどを洗い流したり、殺菌したり、また、栄養分を運んだりします。

ドライアイの症状文2.jpg



そして、まばたきについてですが、その働きは分かりやすく言いますと、「車のワイパー」だと思ってください。
通常、まばたきは1分に約20回繰り返します。
しかし、読書では7回になり、スマホやパソコン操作では5回程度に減るのです。


眼科の権威である慶応大学医学部の坪田一男教授によると、目の疲れの原因の6~7割が「ドライアイ」、3~4割が「目の調整能力異常」によるものだと発表されています。


坪田教授はドライアイについて次のような警告も発しています。
「目が乾けば疲れるし、それがストレスとなり、ストレスは更に涙を出しにくくする」と。教授は続けます。「疲れ目は、慢性疲労につながる」と。
ココが重要です。



メールをくださったnorikoさん、決して「年」のせいではありません。
norikoさんのように、ドライアイが女性に多いのは、涙液や目の油層を形成するのが脂質で、この脂質を分泌する「マイボーム腺」は男性ホルモンに支配されており、この分、女性は働きが弱いのです。


話がちょっと難しくなりましたので、家庭でもできる「ドライアイ対策」をお教えします。
これをすれば「ドライアイ」が相当、緩和されます。
その方法とは、「泣く」ことです。


東京工業大学の感性工学を研究しているグループが行った実験で、私も「やっぱり!」と、思わず膝を打ったデータがあります。
複数の女子大生を対象に感動的なドラマを見せ、その気持ちと脳波の変化を測定したのです。


その結果、ドラマに感動しても、涙が流れる瞬間まではストレスの度合いが上がっていくのですが、涙が流れた瞬間にストレスの度合いが下がっていったのです。
つまり、涙をこらえると、ストレスの度合いが上がり、落涙した瞬間にストレスがとれるのです。

この、面白い実験を裏付ける科学的根拠としては、東邦大学の生理学の有田秀穂教授の「涙と自律神経」についての説明が分かりやすいので付け加えます。
「感動は一見、交感神経が支配する気持ちの高ぶりや興奮に思えるが、落涙の瞬間は交感神経優位から、副交感神経優位にスイッチが切り替わった証拠」と、発言されています。



涙腺を支配しているのは、自律神経のうちの、気持ちを落ち着ける副交感神経なのです。
これは、泣く時に繰り返されるリズム、笑う時のリズム、丹田呼吸法(ヘソ下にある重要な部分で、ここに力を入れてする呼吸)のリズム、などと同じで、ストレス解消に働いています。


さて、ドライアイをはじめとする、疲れ目、それに伴う肩や首のこりの鍼灸治療法ですが、肩こりとは、一般に首の付け根から肩甲骨にかけてのこりと、首筋や背中に広がる痛みを含みます。

疲れ目から、過度のストレスや疲労で筋肉の緊張が進み、乳酸などの老廃物が筋肉中にたまって、首筋を中心としたあたりの神経を刺激するので、筋肉にこりや痛みが生じます。


疲れ目には「攅竹(さんちく)」、「絲竹空(しちくくう)」などの、眉毛の両端のツボを用いるのが一般的ですが、目と眉毛の中間の延長線上にある「太陽(たいよう)」は、置鍼(鍼を浅く刺してしばらく置いておき、血流を改善する刺鍼法)すると、眼はとてもスッキリします。


肩こりには、首を前に曲げたときに出っ張る首の骨と、肩の端を結ぶ線上にある「肩井(けんせい)」、
後頭部にある「風池(ふうち)」、「天柱(てんちゅう)」、背中側では肩甲骨の内側に沿った「こうこう」、「はくこ」というツボ、さらに、肘の重要なツボである「曲池(きょくち)」などを使います。


今もパソコンに向かっている私は、防腐剤の入っていない目薬を差しつつ、後頚部の「天柱」、「風池」に置鍼しています。
いま、午前2時30分。今日(というか、昨日)は午前10時半からパソコンを打っていますから、もう、16時間もやっていることになります。と思うと、急に疲れが出てきました。
限界を通り越して肩も首もバリバリ。
こんなことをやっているので「飛蚊症」にも罹ってしまうのでしょうね。

私の場合はパソコンがドライアイに結びついていますが、パソコンに限らず、ストレスや消化器官が弱っているときなども、ドライアイになり、それが背部痛、腰痛に直結し、悪循環になることが多いのです。
ドライアイと油断していると慢性化して他の疾患をまねく恐れがあります。




はせがわ鍼灸院の測定法


当院の視力測定はNIDEK社のシステムチャートSC-2000を5メートルの距離から測定します.

眼科領域では最新の視力検査法であり、眼科医院も導入し始めている検査機器です。

視力検査機他の用途.jpg

  (NIDEK社・システムチャートSC-2000)


この最新視力測定機は0.1未満の視力まで詳細に判定できます。
公式に0.03より遠見視力検査ができ、弱視や色素変性の患者さん向けの測定機能を持っています。

液晶画面の特性をいかし、網膜色素変性症やアズール病患者さん向けに白黒反転で測定し、白内障の患者さんにはコントラスト測定することも可能です。


この視力検査は基本的に、眼科疾患の患者さんには毎回行います。
ドライアイは様々な眼科疾患の前触れの場合があります。
眼精疲労は他の眼科疾患のシグナルと言えるでしょう。


なお、視力は測定時の体調で微妙に変化がありますが、体調変動も含め、患者さんの日常での生活の質
(QOL・クオリティ・オブ・ライフ)の向上に励みます。



視力において、歪みや暗点は「鈴木式アイチャート」で測定します。

アイチャート全体.jpg



  ( 「鈴木式アイチャート」 )

視界の境界、領域を把握する測定機です。
眼科や脳外科などで実際に使用されているもので、変視の位置・状況や、視野欠損の位置確認をおこないます。


この「鈴木式アイチャート」は歪みや暗点の視界での大きさや状況を客観的に記録し、変視や視野欠損の状況を測定し、鍼灸治療による変化を測定結果に反映させるものです。



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  ( 「測定用紙」 )

上図のように、定期的に眼科疾患の患者さんの個別測定をおこない、記録を照らし合わせ、疾患の治癒状況や進行具合を把握するものです。